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目次

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名称
No.01 バイオハザードの歴史
【1960年代】
・技術者マイケル・ウォーレン(後のラクーンシティ市長)がラクーンシティの電化を開始。

・フシュフォード家の5代目当主、エドワード・アシュフォードが「始祖ウィルス」の捜索に着手。

【1962年】
・オズウェル・E・スペンサーが建築家ジョージ・トレヴァーに洋館の設計、建築を依頼。

【1966年】
▼12月
・オズウェル・E・スペンサーがジェームス・マーカス、エドワード・アシュフォードらとともに生体の遺伝子を組み換えてしまう「始祖ウィルス」を発見。

【1967年】
▼11月
・ラクーンシティ郊外アークレイ山中に洋館・研究所完成。

・建築家のジョージ・トレヴァーの妻ジェシカと娘のリサに「始祖ウィルス変異体」が投与される。
ジェシカはウィルスの定着化に失敗し廃棄処分に、リサはウィルスの定着化に成功し、保護観察下に置かれる。

・ジョージ・トレヴァー、実験の被験体とされるが、廃棄処分となる。

【1968年】
・欧州でラクーンシティの路面電車製造開始、開通。

・オズウェル・E・スペンサーが、ジェームス・マーカス、エドワード・アシュフォードらとともにカモフラージュ企業である製薬会社アンブレラを設立。

▼7月
・エドワード・アシュフォードが「始祖ウィルス」に感染し死亡。
息子であるアレクサンダー・アシュフォードがアシュフォード家の6代目当主に就任。

▼8月
・アンブレラがアークレイ山中に幹部養成所を設立。
ジェームス・マーカス博士が初代所長に就任。

【1969年】
▼2月
・アレクサンダー・アシュフォードがアンブレラ南極基地建設計画を始動。
地下に極秘プロジェクト「コード:ベロニカ」のための研究所を秘密裏に設置。

▼11月
・アンブレラ南極基地及び研究所が完成。

【1971年】
・「コード:ベロニカ」計画成功。
アルフレッド・アシュフォード、アレクシア・アシュフォードの双子の兄妹が誕生。

【1977年】
・アルバート・ウェスカー、ウィリアム・バーキンが幹部候補としてアンブレラ幹部養成所に配属。

【1978年】
▼1月
・ジェームス・マーカス博士、「t-ウィルス」の開発に成功。

▼7月
・アンブレラ幹部養成所の閉鎖が決定。
アルバート・ウェスカー、ウィリアム・バーキンとともに「t-ウィルス」の研究はアークレイ研究所に移行。
ジェームス・マーカス博士は、養成所の施設を用い独自に研究を続行。

【1981年】
▼7月
・アレクシア・アシュフォードが10歳にして有名大学を首席卒業。
アンブレラ南極研究所の主任研究員となる。

・ウィリアム・バーキンがアレクシア・アシュフォードにライバル意識を抱く。

【1982年】
・アレクシア・アシュフォード、父アレクサンダーに「t-Veronica」を投与するも、実験は失敗に終わる。
公には、当主アレクサンダーは謎の失踪として処理される。

【1983年】
▼12月
・アルバート・ウェスカーが「t-ウィルス」の二次感染性を調査。
オズウェル・E・スペンサーの計画を疑問視。

・アレクシア・アシュフォードが「t-Veronica」を自らに投与。
15年間のコールドスリープに入る。
公には感染事故死と発表。

【1987年】
・マイケル・ウォーレンがラクーンシティの市長に就任

【1988年】
・アルバート・ウェスカーが、オズウェル・E・スペンサーの命令によりジェームス・マーカスを暗殺。

・ウィリアム・バーキン主導による「t-ウィルス」計画においてB.O.W.の究極形態「タイラント」を開発。

・アンブレラがヨーロッパ第六研究所において「ネメシス」計画を発動。

【1991年】
・アンブレラがラクーンシティの地下に巨大地下研究所を建設開始。

・オズウェル・E・スペンサーがウィリアム・バーキン立案の「G-ウィルス」計画を承認。同計画始動。

・アルバート・ウェスカー、情報部へ転属。

【1992年】
・アンブレラの援助金により、ラクーンシティの市庁舎が改修、総合病院が設立。
市庁舎にマイケル・ウォーレン市長の銅像が設置される。

【1993年】
ラクーン市警察署長ブライアン・アイアンズがアンブレラと癒着。

・ウィリアム・バーキンがラクーンシティ地下研究所に転属。ラクーン市警察署長と密約を交わす。

・アルフレッド・アシュフォードがイギリスの大学を卒業。アンブレラ南極基地所長に就任。
アンブレラ幹部となり、ロックフォート島の基地の司令官にも就任。

▼12月
・ロックフォート島に対B.O.W.対策部隊の軍事訓練所が完成。

【1994年】
・アークレイ研究所に、ウィリアム・バーキンの後任としてシカゴ研究所からジョンが赴任。

・アルフレッド・アシュフォードがロックフォート島に私邸と刑務所を建設。

【1996年】
・ラクーン市警管轄の特殊部隊「S.T.A.R.S.」設立。
隊長にはアルバート・ウェスカーが就任。

・ハンク(後のアンブレラ特殊工作部隊員)が、ロックフォート島の訓練所で軍事訓練を受ける。

【1998年】
▼5月
・アンブレラ幹部養成所でジェームス・マーカス博士の擬態が出現。

・アークレイ研究所において、大規模なウィルス漏洩事故。
研究所は壊滅。

・ケルベロスによる最初の犠牲者。20歳前後の女性のバラバラ死体が発見される。

▼6月
・ケルベロス目撃情報がラクーンシティの週刊誌で報じられる。

▼7月
・アンブレラが、幹部養成所に2回に分けて調査隊派遣。
第一次調査隊が養成所内のB.O.W.によって全滅。

・アークレイ山地で遭難者及び行方不明者が多発。
ラクーン市がS.T.A.R.S.の捜査介入を決定。

・出動したS.T.A.R.S.ブラヴォーチームのヘリが謎のエンジントラブルにより、アークレイ山中へ不時着。

・S.T.A.R.S.ブラヴォーチームがアンブレラの黄道特急及び幹部養成所跡地を調査。アンブレラ幹部養成所が消滅。

・連絡の途絶えたS.T.A.R.S.ブラヴォーチーム捜索のため、同じくアルファチーム出動。

・洋館事件発生。

・アルバート・ウェスカーの正体がS.T.A.R.S.ブラヴォーチームのエンリコ・マリーニ隊長にばれる。
ウェスカーはエンリコを射殺。

・ウィルスに浸食されたアークレイ研究所・洋館が自爆。
S.T.A.R.S.アルファチーム4人、ブラヴォーチーム1人が生還。
(以下のリスト参照)

クリス・レッドフィールド
ジル・バレンタイン
バリー・バートン
ブラッド・ヴィッカーズ
レベッカ・チェンバース

・アルバート・ウェスカー、自爆直前のアークレイ研究所から脱出。

▼8月
・元S.T.A.R.S.隊員のクリス・レッドフィールドは「G-ウィルス」の情報をつかみ、ヨーロッパへ出発。
反アンブレラを掲げる

▼9月
・ウィルスがネズミを媒介に流出、ラクーンシティの市街地全域がバイオハザードに見舞われる。
市街地では「人食い病」が多発。事件が報道される。

・ウィリアム・バーキンにより「G-ウィルス」完成。

・ゾンビ集団がラクーン市警察署内へ侵入。

・ラクーン市警察署が壊滅。ブライアン・アイアンズ署長が狂乱。
マイケル・ウォーレン市長は娘を置いてラクーン市を脱出。

・U.B.C.S.(アンブレラ・バイオハザード対策部隊)がラクーンシティに到着、民間人救出作戦を開始。

・新人警官レオン・S・ケネディがラクーンシティに到着。
同じ頃、クレア・レッドフィールドも市内に到着。

・アンブレラが新型B.O.W.「ネメシス-T型」を投入。
元S.T.A.R.S.隊員ジル・バレンタインの追跡を開始。


・アンブレラが量産型タイラントをラクーン市内に投下。

・レオン・S・ケネディとクレア・レッドフィールドは救出したウィリアム・バーキンの娘シェリーを連れてラクーンシティを脱出。

・米軍が介入し、市に厳戒令が発令される。

・U.B.C.S.の生存者がアンブレラの「監視員」ニコライ・ジノビエフに利用され、次々と死亡。ラクーンシティの病院が爆発。

・エイダ・ウォンとアンブレラ特殊工作部隊のハンクが、それぞれ「G-ウィルス」のサンプルを回収。

・ラクーンシティ地下研究所が消滅。

▼10月
・米国政府が「滅菌作戦」の決行を決議。
大統領命令によりラクーンシティがミサイル攻撃を受け、消滅する。

▼12月
・クレア・レッドフィールドがアンブレラ・パリ研究所に潜入するも捕らえられ、ロックフォート島の刑務所に投獄される。

・アルバート・ウェスカー率いる謎の特殊部隊が島を襲撃し、島全体に「t-ウィルス」が流出。

・ロックフォート島の刑務所から脱獄したクレア・レッドフィールドが、電子メールでレオン・S・ケネディに救助を要請。
居場所が兄クリスに伝わる。

・ラクーシティを脱出したジル・バレンタインが、クリス・レッドフィールドのアジトに到着するが、クリスはすでにロックフォート島に出発。

・アルフレッド・アシュフォードがロックフォート島から脱出。

・クリス・レッドフィールドがロックフォート島に到着後、アルバート・ウェスカーと再会。

・アンブレラ南極研究所でアレクシア・アシュフォードがコールドスリープから目覚める。

・アルフレッド・アシュフォードが死亡。

・クレア・レッドフィールドがアンブレラ南極基地で兄クリスと再会。2人で協力してアレクシアを倒す。

・クリスとクレアがアンブレラ南極基地を脱出。同基地消滅。

【2002年】
・ジャック・クラウザー、事故を偽装して死を装いアルバート・ウェスカー率いる秘密組織に加わる。

【2003年】
▼2月
・アンブレラ・コーカサス研究所(ロシア)におけるB.O.W.破壊作戦にクリス・レッドフィールドとジル・バレンタインが参加。
新型B.O.W.「T-A.L.O.S.」の破壊に成功。

【2004年】
・アメリカ大統領の娘、アシュリー・グラハムがロス・イルミナドス教団に誘拐される。
(実行犯はジャック・クラウザー)

・アシュリーの警護役になる予定だったレオン・S・ケネディが、誘拐事件の捜査を命じられる。

・レオン・S・ケネディがヨーロッパのとある村にて、寄生体プラーガの卵を植えつけられる。
その後、同じく卵を植えつけられたアシュリー・グラハムを教会にて保護。

・レオンとアシュリー、古城に一時避難するも教団の信者であるサラザール家8代目当主ラモン・サラザールの手によってアシュリーが再び捕らわれ、クラウザーに孤島へと連れ去られる。レオンはサラザールと対峙し、これを倒す。

・レオン・S・ケネディは孤島へ向かい、アシュリー・グラハムと合流。
ジャック・クラウザー及び教団の教祖オズムンド・サドラーを倒す。
また、孤島にあった設備でレオンとアシュリーの体内の寄生体を除去。

・エイダ・ウォンがレオンから寄生体のサンプルを奪取。

・レオンとアシュリー、ジェットスキーで孤島から脱出。
No.02 BSAA
ラクーンシティ消滅後、その責任を追及するために提訴された数多くの訴訟はアンブレラに大打撃を与えた。
だが、アンブレラ以上にダメージを負った団体があった。それが全世界の製薬企業が加盟する業界団体「製薬企業連盟」である。
アンブレラが「有機生命体兵器(B.O.W.)」の開発と実験、そして闇市場への流通を行っていたと言うことは、製薬業界全体の信頼を貶め、さらにはアンブレラ自体が製薬企業連盟の理事企業の一つであったこともそれに拍車をかけた。

それだけであればイメージの悪化だけで済んだかもしれない。
現代では、薬と医療は不可分である。
必要とあれば、薬を使用するのにイメージなど気にしていられない場合もある。

だが、訴訟が進むにつれ状況が変化しはじめた。
検察側から提出された証拠に、様々な製薬企業の名前が登場し始めたのだ。

アンブレラは、各製薬企業が開発した薬品や技術を、兵器開発のあらゆる局面で巧みに取り入れていた。
それだけならまだしも、開発の一部を生物兵器開発のそれと悟らせないように、各製薬企業へと開発を委託していたのだ。
各製薬企業からすれば、知らず知らずのうちに生物兵器開発に加担していたことになる。
これまで連盟の加盟企業の中でも、アンブレラ問題は対岸の火事と見る向きもあった。
しかし、一転、被告企業となれば話は違ってくる。

何十万人が死亡した事件の責任を背負わされようとしているのだ。
敗訴となれば、会社の存続は絶望的。
例え無罪となったとしても、そのイメージ失墜は売り上げだけではなく、各国政府の許認可にも大きな影響を与えるだろう。
製薬企業にとって、開発した薬が認可されないのは死刑宣告も同じである。
これには製薬企業連盟の加盟各社も、対抗措置を取らざるを得なかった。

製薬企業連盟は、検察側に司法取引を持ちかけた。連盟は今回の事件解決に全面的に協力し、アンブレラを追い詰めるためにはどんな企業機密も喜んで提供すると告げた。
この提案はアンブレラ壊滅に執念を燃やす検察側に好意的に受け入れられ、製薬企業連盟各社への起訴は見送られることとなった。

そして2003年、アンブレラの全面的敗訴が決定した。アンブレラは崩壊し、製薬業界全体を巻き込もうとしていた一大スキャンダルは終息するかと思われた。

だが、事態は予想外の展開を見せ始めた。
アンブレラの崩壊により、B.O.W.が世界中の闇市場へ流出し始めたのだ。
それらが一部の国家、ゲリラ、テロリストたちの手に渡ったため、B.O.W.の脅威が一般の人々にまで降り注ぐようになった。
このため製薬企業連盟は、更なる対抗措置を取らざるを得なかった。

そこで組織されたのが、対バイオテロ部隊
「BSAA(Bioterrorism Security Assessment Alliance)」である。
BSAAは、当初11名の精鋭のみで組織され、各国軍隊、警察の対バイオテロ作戦へ、オブザーバーを派遣するにとどまっていた。
しかし、バイオテロの猛威は予想をはるかにうわまわっており、そのような方法ではすぐに対処しきれなくなってしまった。

そのため、事態への即応が可能な実働部隊結成が検討され始めたが、BSAAはあくまで民間主導の組織である。
政府が存在する他国での捜査、逮捕、それに伴う武力行使には、おのずと限界が生じる。
だが、バイオテロの脅威は、すでに全世界的な問題となりつつあった。
そこでBSAAは、国連管轄の対バイオテロ部隊として再編成されることとなった。

国連管轄の特殊部隊であれば、国連加盟国ではある程度受け入れの素地が整っていると言っていい。
事実、BSAA結成に関する決議では、加盟国の7割が国内でのBSAAの活動を認め、残りの国も制限付きながら活動を認めるに至った。
こうして、現在のBSAAが誕生した。

BSAA本部はイギリスにあるが、詳しい所在地は非公開である。
BSAAの部隊は、管轄内の地域であれば12時間以内に部隊を展開させることが可能であるため、ハブ空港、もしくは空軍基地の近くにその拠点を構えていると考えられる。
また、同一支部内でも管轄地域内にいくつかの拠点が存在すると言われている。

BSAA各支部の管轄地域は、以下のようになっている。

欧州本部
→西部ロシア地域を含む欧州地域

中東支部
→アフリカ大陸の一部を含む中東地域

北米支部
→北米大陸全域(クリス・レッドフィールドが所属)

南米支部
→南米大陸全域

西部アフリカ支部
→アフリカ大陸西部(シェバ・アローマが所属)

東部アフリカ支部
→アフリカ大陸東部

極東支部
→インド以東のアジア地域と極東ロシア地域

オセアニア支部(※)
→オーストラリアを中心とするオセアニア地域

※アンブレラ南極研究所のあった南極大陸は、オセアニア支部の管轄となる。

BSAAは各支部に相当数の実働部隊を擁しており、その多くは各国警察の特殊部隊、軍隊の経験者により構成されている。

また、実働部隊のサポートスタッフとして、各国の政府組織から相当数の現役職員が出向しているとも言われている。
彼らもまた、実働部隊の隊員たちをテクニカル、メディカル、フィジカル、メンタルの各方面から支えるサポートのエキスパート集団である。

BSAAの実働部隊は、大きく2つの種類に分けられる。

まず、「特殊作戦部隊(=Special Operations Unit)」と呼ばれるチームと、そこに所属する隊員たち。
チーム編成で行動する彼らは、突入、作戦、鎮圧のプロフェッショナルである。
基本は12名の分隊規模の編成で、さらにその12名を4名ずつの3班に分けて行動することもある。

SOUの特徴は、その柔軟な人員の運用にある。
作戦規模に応じて別チームからの班単位の合流は日常的に行われており、ある合同作戦では、各支部の精鋭70名以上が作戦に参加したとする記録もある。

本作戦では、アルファチームをダン・デチャントが率いているが、そのチーム編成も従来のデチャントの部下と別チームの班を混成させた即製チームである。
(よって、アルファチームという呼び方も本作戦でのみ使用される呼称である)

このような特殊な部隊運用は、これまでにない対生物兵器戦闘においては既存の編成方法だと対応しきれないという事情と、従来の部隊編成が持つ管理、運用面での長所を考慮した結果と言える。

もう1つが「特殊作戦要員(=Special Operations Agent)」である。
通常は、ただ単にエージェントと呼ばれる場合が多い。
チームで動くSOUに対して、エージェントは個人で動く。
エージェントは、捜索、諜報活動を主な任務としており、言わばBSAAの目として活躍する存在である。
また、作戦の性格上、表立って部隊が投入できない場合はエージェントが作戦に従事することもある。
その場合、作戦遂行の最小単位は2名、2マンセルが基本である。

なお、エージェントの中には支部を越えて作戦に従事する者もいる。
その多くは、複数地域で行われる非合法活動を追うエージェントであり、本作戦でのクリス・レッドフィールドもその一人である。

エージェントは単独で行動できる能力を有していることから、SOU隊員よりも格上と見られることが多いが、実際には能力、技術よりも心理面、適性が大きく考慮された上で選抜される。
よって、個々の能力だけを比較すればSOUの隊員の方が優秀であることも珍しくない。

このように、BSAAは多国籍部隊的な要素を持つ公的組織ではあるが、その結成の経緯から、活動資金の多くが製薬企業連盟から捻出されていることは広く知られた事実である。
このような状態はしばしば批判の的とされるが、資金提供がなければ加盟国に多額の負担金を強いることになるため、事態の改善には至っていない。
また、製薬企業連盟にとってもBSAAに出資していることは業界全体の姿勢をアピールする上で重要と考えられているため、この関係は当分の間続くとみられている。

最後に、BSAA結成当初から所属していた11名は、隊内では敬意を持って「オリジナル・イレブン」と呼ばれている。
これは、アメリカのマーキュリー計画で選抜された7名の宇宙飛行士がオリジナル・セブンと呼ばれたことに由来している。
オリジナル・イレブンの中にはクリス・レッドフィールドも含まれており、現在も数名の隊員が同隊で活躍中である。
No.03 マジニ
欧州の旧家、サラザール家が統治する城の地下に封印されていた寄生生命体「プラーガ」。
このプラーガが人間に寄生して中枢神経と同化すると、その人間は理性を失い、支配種と呼ばれる別種のプラーガ(もしくはそれに寄生された人間)からの命令のままに人を襲うようになる。
寄生された人間は理性こそ失うが、人間の知能までは失われておらず、お互い言葉を交わしての意思疎通が可能である。
また、道具を使い、敵を集団で追い込む狡猾さも持ち合わせている。

このような状態になった人間をレオン・S・ケネディが記したレオン・レポートでは「ガナード」と呼んでいる。

本作戦でも、このプラーガの存在が確認されている。
なぜ、欧州で確認されたプラーガが、アフリカに出現したのか。
その影には、生物兵器の密売人リカルド・アーヴィングの存在がうかがえる。

BSAAアルファチームがその命を賭して得た情報によると、このプラーガは欧州で回収された後、生物学的、遺伝子学的な改造を施され、兵器としての純度が高められた改良型プラーガであることが分かった。
この改良型プラーガは、開発者の間では「プラーガ・タイプ2」と呼ばれていることが関係する資料から確認されている。

タイプ2の特徴は、その寄生方法にある。
欧州で確認されたオリジナルのプラーガは、卵の状態で人間に寄生。
ふ化し、体内で成長することにより精神の支配を行う。
しかしこのタイプ2は、成長した状態で人間に寄生する。
そして、その寄生方法は経口摂取、つまりは口から押し込むのである。

荒っぽい方法ではあるが、その結果、オリジナルでは寄生から精神の支配まで数時間から数日を要したのに対し、タイプ2の効果は即時に現れる。
この点が兵器としての利便性を高めた結果なのであろう。
なお、この寄生の様子は、作戦に参加したBSAA隊員によっても目撃されている。

タイプ2に寄生された人間は精神を支配されて理性を失い、命令のままに人を襲い始める。
(兵器として運用することが前提となっているため、命令権を持つ人物が、必ずしも支配種プラーガである必要はないと考えられる)
知性もそのままなのと、身体的な能力は寄生された人間の能力に依存するという点も、原種からの特徴として受け継がれている。

ただし、積極的にプラーガを寄生させ、仲間を増やそうとする行動も見受けられるため、兵器としての拡散性も高められていると推測される。
入手した資料によると、このタイプ2に感染させられた人間のことを、武器商人たちは「マジニ」と呼称していたようである。
これは現地の言葉で「悪霊」という意味である。

なお、タイプ2というコードネームから3、4以降の改良型プラーガの存在も予想されるが、現在のところ、その存在は確認されていない。
No.04 クリス・レッドフィールド
彼のキャリアは、アメリカ空軍で幕を開ける。
いかなる状況でも信念を曲げない強い意志、たゆまない努力、そしてほんの少しの運を味方にしたクリスは、戦闘機のパイロットとして任に就く。
まっすぐな性格はパイロット向きで、将来も嘱望されたが、その性格ゆえに当時の上官と意見が対立することも多かった。
その対立関係は解消されることなく、ほどなくクリスは退役の道を選ぶ。

退役後、その卓越した射撃能力と近接戦闘技術、そして固定翼機だけではなくヘリコプターの操縦資格も持つ多才さを買われ、ラクーン市警察所属の特殊部隊「S.T.A.R.S.」にスカウトされる。
S.T.A.R.S.ではアルファチームのポイントマン(PM)を任されることとなった。
その任務の性格上、単なる射撃能力、戦闘技術の高さだけではなく、幅広い銃器を扱える応用力の高さも必要とされる。

彼はその点も非常に優秀で、小銃から重火器まで必要に応じて柔軟かつ的確に扱う才能を持ち合わせていた。

S.T.A.R.S.での任務を順調にこなしていたクリスであったが、1998年7月、状況は一変する。
ラクーンシティ近隣の山中でS.T.A.R.S.ブラヴォーチームが消息を絶った。
捜索に向かったクリスたちアルファチームは、凶暴化した野犬(後に「ケルベロス」と呼ばれる有機生命体兵器(B.O.W.)と判明)の襲撃を受け、追い込まれるように洋館へと逃げ込んだ。

その洋館こそ、世界的規模の製薬企業「アンブレラ」が運営していたアークレイ研究所と呼ばれる生物兵器の開発、実験施設であった。
ここで彼と、そのパートナー、ジル・バレンタインは、アルバート・ウェスカーの企みにより、数々のB.O.W.との戦闘を強いられる。
ウェスカーは、S.T.A.R.S.の隊長、つまりクリスとジルの上司であったが、同時にアンブレラの情報部員であった。
彼は、洋館へ幾多のB.O.W.を投入することにより、様々な状況での戦闘データを収集しようとしていたのだ。

この通称「洋館事件」と呼ばれるアークレイ研究所での惨事は、ウェスカーの死亡とクリスとジルによるタイラントの破壊、そして研究所の自爆により幕を閉じた。

帰還後、クリスは洋館での凄惨な事件とアンブレラの危険性を各所に訴えるが、アンブレラの息がかかったラクーンシティ上層部は言うに及ばず、政府さえもその言葉に耳を貸そうとはしなかった。
立ち向かおうとする組織は巨大かつ、強力な影響力を有していたが、逆にそれがクリスの闘志に火をつける。
クリスは独自の調査を進めるため、家族にもその行き先を告げずにヨーロッパへ旅立っていった。

家族に危険が及ばないようにするための彼なりの配慮であったが、それが裏目に出た。
兄と連絡が取れないことを心配した妹のクレア・レッドフィールドが、ラクーンシティへやってきたのだ。
クレアはt-ウィルスがもたらしたラクーンシティの大混乱に巻き込まれるが、そこで出会ったレオン・S・ケネディと共に闘い、窮地を脱する。
この事件中につかんだ事実を基に、クレアはクリスを追ってヨーロッパへと向かうが、そこでアンブレラの手に落ちてしまう。

その事実をレオンから伝え聞いたクリスは、妹を救出するため、クレアが捕らえられているロックフォート島へと向かった。
そこでクリスは、様々な事実と直面することとなる。

アンブレラ南極研究所。

アレクシア・アシュフォード。

t-Veronicaウィルス。

……そして、アルバート・ウェスカー。

洋館事件の首謀者。
死んだと思っていたかつての上司。
彼は、陰謀の影を再びこの事件に落としていた。
そしてクリスは、この因縁浅からぬ男と対決することとなる。
人であることを捨てたウェスカーの戦闘能力はクリスを圧倒していた。
だが、辛くも勝利を収めることができた。
炎の中に消えるウェスカーを見て、クリスは諸悪の根源であるアンブレラ壊滅の決意を新たにする。

そして時は流れ2003年。
クリスはロシアの空にいた。
隣には、かつてのパートナー、ジル・バレンタイン。
この時、アンブレラは窮地に立たされていた。
ラクーンシティ崩壊の責任を問われ、際限なく吹き荒れる訴訟の嵐、株価の暴落。
アンブレラの崩壊は、時間の問題と思われた。

その最中、クリスはアンブレラが新たなB.O.W.開発計画を進めつつあるという情報を入手した。
それがこの地、ロシアのコーカサス研究所で秘密裏に行われていた「T-A.L.O.S.」計画である。
情報を掴んだ2人は、現地の対バイオハザード部隊と共に研究所を強襲。
その災厄の芽を摘み取ったのだった。
それからほどなくして、アンブレラは崩壊した。

しかし、アンブレラが蒔いた災厄の種は、世界中で闇色の花を咲かせていた。
紛争地域だけではなく、一般市民を巻き込むテロでも使用されるB.O.W.。
その壊滅を目的に結成された「BSAA」に参加するのは、クリスとしては当然の成り行きだった。
それは、ジルもまた同じであった。
クリスとジルは、背中を預けられるパートナー同士として、世界中の生物兵器犯罪に立ち向かっていったが、ここでもアンブレラの影が彼らの運命に大きな影を落とす。

アンブレラの創始者オズウェル・E・スペンサーの逮捕に向かった二人が見たものは、死体となり横たわるスペンサーと、その手を血に染めてたたずむ仇敵ウェスカーであった。
クリスは、三度ウェスカーと対決することとなった。
だが、この顛末は、ジルがウェスカーと共に底知れぬ崖下へ消えるという悲劇で幕を閉じた。
BSAAによる3ヵ月にも及ぶ捜索をもってしてもジルの死体は発見されなかった。

結果、ジルはBSAAより公式に死亡と認定されるに至った。
死体のない墓地の前で、クリスがなにを誓ったのかは定かではない。
ただ確かなのは、彼がかつて以上に生物兵器犯罪の捜査、撲滅に情熱を燃やすようになったことだった。
BSAA北米支部に所属しながらもその捜査の範囲は世界中に及び、作戦行動への参加数はBSAAの全隊員の中でトップを記録した。

その渦中で、クリスはリカルド・アーヴィングがアフリカで大規模なB.O.W.の取引を行うという情報を入手する。
アーヴィングとは、最近裏の世界でよく名前を耳にする生物兵器の密売人である。
クリスは情報をアフリカ支部に通報後、アーヴィング逮捕作戦に志願をする。

そこにはクリスの隠された思いがあった。
情報の裏に見え隠れする、かつてのパートナーの名。

生きているかもしれない……

だが、クリスはそれを誰にも漏らすことなく、わずかな希望と決意を胸に人類発祥の大地へと降り立った。
そして彼は、この地で再びバイオハザードに立ち向かうこととなったのだ。
No.05 シェバ・アローマ
彼女の生まれ育った町には工場があった。

アンブレラ第57プラント。

数字が与えられただけの古びた工場であったが、街にとっては潤いをもたらす貴重な現金収入源であった。
街の大人の8割がその工場で働き、シェバの両親もその例に漏れなかった。
両親の稼ぎはそれほど多くはなかったが、安定した現金収入のおかげでシェバは比較的裕福な子供時代を送ることができた。

だが、その幸せな時間は長くは続かなかった。
8歳の頃、彼女がいつものように通りで友達と遊んでいると、突然のサイレンが彼女を包んでいた明るく穏やかな空気を吹き飛ばした。
サイレンは工場からだった。

同時に立ち昇る不吉な黒煙。

なにか悪いことが起こっている。

それを直感的に感じたシェバは、工場へと走った。

しかし、工場の中へ入ることはできなかった。
いつもはにこやかに子供たちを通してくれる気のいい年老いた守衛の姿はなく、そこには見慣れない大人たちがいた。
頭をすっぽりと覆うマスクのおかげで表情は分からない。

「対バイオハザード用の防護装備よ。きっとアンブレラの特殊部隊ね」

後のシェバはそう語る。

マスクの下から聞こえてくる声はくぐもって聞こえにくかったが、手にしたアサルトライフルがシェバたちに向けられたことで、その意思は十分すぎるほど伝わった。
街の近くには少ないが、政情不安定なこの国では反政府ゲリラも多い。
子供とは言え、銃が持つ暴力性は十分に理解している。
そのうち、街に残っていた大人たちも集まってきたが、鈍く光る小火器に逆らう者はいなかった。
シェバは、近所に住む大人に手を引かれ家に帰った。

その夜は、シェバにとって最も長い夜となった。
一睡もせずにドアを見つめたまま、夜を過ごした。
夜が明け、太陽が長い影を作り始めても両親は戻ってこなかった。

夜になり、ドアの外に気配を感じた。
シェバは飛び上がり、ドアへと駆け寄った。
ずっと座っていたので足の筋肉はこわばっていたが、そんなことは気にしていられない。
こけそうになりながらドアへたどり着くと勢いよくドアを開け、力一杯叫んだ。

「お帰りなさい!」

そこにいたのは両親ではなく、目を丸くして驚いている遠縁の叔父だった。

「お前の両親は死んだ。工場の事故でだ」

そして、自分が彼女を引き取ると言うのだ。
シェバの気持ちなど、おかまいなしだった。
叔父は金になりそうないくらかの家財道具を手早くまとめて古いピックアップトラックの荷台に乗せると、シェバを遠く離れた自分の家に連れ帰った。

だが、そこでの生活は長く続かなかった。
叔父の家は貧しく、その上7人の子供がいた。
工場から補償金をふんだくる皮算用がなければ、血縁とは言えシェバを引き取ることはなかっただろう。

そして、叔父の目論見は外れた。
アンブレラから補償金はもらえなかったのだ。
叔父が叔母に向かってぶつくさと「工場が消えた」と言っていたが、シェバにとってはどうでもよかった。
それよりも、その日を堺に満足な食事も与えられなくなったことの方が大問題だった。

空腹は、やさしかった両親をより愛おしくさせた。
そしてシェバは、本当は両親が生きているかもしれないと思うに至った。

そうだ、自分は両親の死体さえも見ていないのだ!
もしかしたら生きているかもしれない!

その思いは日に日に強くなっていった。
2ヵ月後、満月がサバンナを照らす夜、シェバは叔父の家を抜け出して生まれ育った街へと向かった。

シェバの両親への想いは強かった。
だが、サバンナの広大さはそれを打ち砕くのに十分だった。
二日目の夜、折からの栄養不足も重なり、シェバは倒れた。

サバンナの夜は意外とうるさい。
動物たちの足音、咆哮、虫の鳴き声、乾いた風ですれる草の音。
街育ちのシェバにとっては新たな発見だったが、それももうすぐ無意味になりそうだった。

その時、聞き慣れた音が耳に届いた。
低いエンジン音、砂利をかくタイヤ、整備不足なのかカラカラという異音が混じっている。
トラックだった。
トラックはシェバのそばで止まった。
助手席から出てきた男は、シェバを覗き込むと二言三言声をかけてきた。
その時、シェバはなんと返事をしたのか覚えていないと言う。
だが、男はシェバを抱き上げると、荷台に乗せ、その場を離れた。

男は反政府ゲリラの一員だった。
彼はシェバに暖かい食事と、まずは快適と言える寝床を与えてくれた。
だが同時に、残酷な事実も告げられた。

アンブレラの工場で起こった事故は、ただの事故ではなかった。
工場で製造されていた生物兵器。
その最終実験が、老朽化した工場を使用して行われたのだ。
そこで働いていた、何も知らない従業員を巻き込んで。
シェバの父も……そして母も……

実験が終了した後、アンブレラは事実を隠蔽するため政府に働きかけて軍隊を出動させ、工場を街ごと破壊した。
それも徹底的に。
彼女が生まれ育った街は、もはや存在しなかった。

シェバは憎んだ。
身勝手な理由で両親を奪ったアンブレラを。
そのアンブレラに尻尾を振る政府を。
そして彼女は、そのまま反政府ゲリラのグループに身を置くことを決意した。

最初は洗濯や食事の用意などの雑用しかできなかったが、数年もすると銃を手にするようになった。
ゲリラ時代の話を、シェバはあまり語りたがらない。
あまりいい思い出はないのか、それとも当時の行いを恥じているのか、どちらかだろう。

シェバがゲリラに身を置くようになって、7年の歳月が過ぎ去ろうとしていた。
その日、シェバは買い出しのために街へ来ていた。
買い出しは、彼女の重要な任務の一つだった。

長年ゲリラとしての生活を続けているとは言え10代の少女である。
時々見せる鋭い眼光を封じ込めれば、街中にいてもそう怪しまれることはない。
そのシェバに一人の男が近づいてきた。
地元の人間に見えたが、その言葉にかすかな外国語訛りが感じられた。
男は警戒するシェバに一枚のメモを渡すと、早口でこう告げた。

「メモを読め、信じるなら、2時間後、裏通りにある教会に来い」

それだけ告げると男は雑踏の中に消えた。
シェバがそのメモを素直に受け取ったのは、そこに見覚えのある単語を目にしたからだった。

「アンブレラ」

身勝手な実験でシェバの両親を奪った製薬企業。
あの実験さえなければ、ゲリラに身を落とすこともなかっただろう。

メモにはこうあった。

シェバが所属する反政府ゲリラが大規模な生物兵器テロを計画しており、それにより政府転覆を狙っている。
その為、近々アンブレラとの取引を行うらしい。
そして、シェバに、その取引阻止の手助けをして欲しい、と。

政府側の罠かとも思ったが、真実だと直感した。
なぜそう思ったのか、当時を振り返り、シェバはこう語る。

「あの国はフランスの影響が強いから、フランス語っぽいしゃべり方をする役人は多くいたけど、あの男は違った。あの時は分からなかったけど、ほんの少しだけ英語訛りがあったの。」

直感は正しかった。
シェバは教会で二人の男に会った。

一人はさっきメモを渡してきた男。
そしてもう一人のノーネクタイのスーツ姿の男は、自らを「アメリカ政府の職員」と名乗った。

スーツ男の目的はシンプル。
アンブレラの壊滅、ただそれだけだった。
今回の取引で、ある男が現場に現れる。
その男が何らかの鍵を握っているらしい。
また、その男を逮捕するため、シェバの手助けが欲しいと言うのだ。
そして、その男を逮捕することができればゲリラには興味がないと言う。

逮捕もしなければ、政府に引き渡すこともない、スーツ男はそう約束した。
スーツ男の話は、真実のように思えた。
しかし、長年の仲間を裏切ることになる……。
その迷いを見透かしたかのように、彼はシェバに問いかけてきた。

「アンブレラが憎いか?」

シェバは、一も二もなくうなずいた。

「それが我々が君を選んだ理由だ。それともう一つ、アンブレラと戦いたければ、今の仲間と手を切ることだ」

「で、あんた達の仲間になれって?」

「そうだ。しょせんは反政府ゲリラだ。目的のためには手段を選ばない。だが我々は違う。正しい目的のために、正しい手段のみを選ぶ」

「ご立派なこと、だけどさ、15歳の小娘になに期待しているわけ?」

「歳は関係ない。アンブレラを憎み、そして戦う意志と力があるならば立派に我々の仲間だ。……もっとも、年上に対する口のきき方は少し教え込む必要がありそうだがな」

そう言うと、スーツ男は皮肉たっぷりに笑った。

3日後、特殊部隊が取引現場を急襲した。
シェバは取引現場であるビルの入り口の鍵を開けておき、身に着けた盗聴マイクで現場の状況を待機していた特殊部隊に中継した。
作戦は成功だった。
目的だったアンブレラの男は速やかに捕獲され、そのまま現場から連れ出された。
その後、シェバがその男の姿を目にすることはなかった。

シェバもゲリラ仲間と一緒に逮捕され、アメリカ領事館へと連行されたが、仲間は2日後に解放された。
それを見届けた後、シェバはスーツ男が用意したプライベートジェットに乗り込んだ。
その手には、アメリカのパスポートが握られていた。

シェバはアメリカで万全の教育を受けた。
元々聡明だった彼女は半年で英語をマスターすると、2年後には大学へ進むほどの学力を有するに至った。もちろん、その間に年上への口のきき方も含む様々なマナーも叩き込まれたのは言うまでもない。

大学卒業後、後見人代わりのスーツ男の勧めもあり、結成されたばかりの「BSAA」に入隊することとなった。
数年前にアンブレラは崩壊していたが、シェバの志はすでにアンブレラだけに縛られていなかった。
入隊後の基礎訓練期間を終えた後、シェバはジョッシュ・ストーンが率いる分隊へと配属された。
そこで8ヵ月間、実践経験を通じて訓練の総仕上げを行ったシェバは、その後、BSAAのエージェントに抜擢される。
そして、世界中で活躍することとなったのだ。
No.06 リカルド・アーヴィング
表向きはトライセル・アフリカ支社の資源開発部門が所有する油田の所長である。
性格は尊大で横柄。態度は粗暴。徹底した拝金主義者。
そして、その性格を見込まれ、開発された有機生命体兵器(B.O.W.)を闇市場へと流す窓口的役割を任されている。
彼が行う闇取引で得られた利益はアフリカ支社が行う生物兵器開発の資金源として利用されており、また、デモンストレーションを兼ねた生物兵器の運用試験も行っているため、生物兵器開発ビジネスの全貌を知る数少ない人物と言える。

ただし、その活動とトライセル・アフリカ支社の関係は完璧に隠蔽されている。
彼がBSAAに出資している製薬部門ではなく、表向きだけでも資源開発部門に籍を置いているのはそのためである。

(トライセルは「海運」「資源開発」「製薬」の3部門からなる複合企業体である。各部門が独立採算制をとっているため、部門が違えば別会社と言ってもよい。
もちろん、各支社間に存在する壁も無視できない要素である)

よって、今回BSAAが取引の情報を掴んだ際も、彼の個人的な違法行為として認識されていた。
そのため、今回の作戦は「対生物兵器作戦」ではなく、「密売人の逮捕作戦」として立案されたという経緯がある。
そして、そこにアーヴィングがつけ込む隙があった。

作戦の情報を掴んだアーヴィングは、取引場所をキジュジュ自治区外にある鉱山に変更。
BSAA側が取引現場と思い込んでいる自治区内に、罠を張り巡らせる。

まず部隊が現地へ到着する前に、新たに開発された「改良型プラーガ」を街にばら撒き、市民全員を「マジニ」とした。
これは、バックアップチーム(クリス・レッドフィールドとシェバ・アローマの2名)への威嚇と同時に、商品を闇市場へ流通させる前段階のデータ収集のためと推測される。


また、突入部隊であるアルファチームに対しては、暴走したウロボロス・ウィルスを用意。
この目論見は見事に的中し、ダン・デチャント率いるアルファチームを全滅させている。

だが、彼にとって予想外だったのは、暴走したウロボロス・ウィルスがクリスとシェバに倒されたことである。
また、情報の一部が保管されていたハードディスクを奪取されたことも想定外であった。
これにより、クリスとシェバに本当の取引現場である鉱山の存在を知られてしまうこととなった。

予想外の事態に直面したアーヴィングは、次の手を打たざるをえなかった。
彼は、取引相手に商談の延期を連絡すると、鉱山に用意してあった各種資料、書類の回収に向かった。
そして、その最中にクリスとシェバに踏み込まれたのである。
ただし、彼にとって、この事態はある程度予想の範囲内であった。

アーヴィングは、外で待機していたフードの人物に救出されるとそのまま逃走。
二人に対し、本来取引で使用するために用意していた「ポポカリム(コウモリ)をベースに生み出されたB.O.W.」を差し向けた。

これは、取引をふいにされたアーヴィングの個人的な腹いせに過ぎないと思われる。
合理主義的なビジネスマンという一面の裏に、そういう子供っぽい面も合わせ持つのが、アーヴィングと言う人物の本質なのである。

さらに予想外の事態は続く。
鉱山から逃走してきたアーヴィングであったが、自治区内で待機していたジョッシュ・ストーン率いるデルタチームに発見されてしまったのだ。
その場は取引用として用意していた「ンデス(欧州で確認された「エルヒガンテ」のデータを基に作られたB.O.W.)」を使用することで窮地を脱したが、取引をふいにされただけではなく、二体の大型B.O.W.を失ったことは痛恨の極みであった。

そのため、粛清を免れないと判断したアーヴィングは密かに貯めこんでいた私財を手に逃走を計るが、直後にフードの人物に取り押さえられてしまう。
その人物は、アーヴィングにプラーガが入った注射器を差し出した。
これを使ってクリスとシェバを倒し、責任を取れと言うのだ。
だが、その注射器に入ったプラーガは、ただのプラーガではなかった。
それは「支配種プラーガ」だった。

支配種プラーガは、BSAAの資料によるとレオン・S・ケネディが欧州で遭遇した事件でも、何度か使用が確認されている。
通常のプラーガと違い、寄生されても意識を支配されることはないが、体に著しい変化をもたらしてしまう。
支配種プラーガを寄生させることは、人間として生きることをあきらめるのと同義であった。

アーヴィングにとって、油田の爆破は最後の悪あがきだったに違いない。
そもそも、油田の地下に眠る原油は枯渇しかかっていた。
爆破による証拠隠滅と共にクリスとシェバが死ねば、支配種プラーガを使用する必要はなくなる。
彼にとっては、まさに命を賭けた大博打であったが、それにさえも彼は勝つことはできなかった。

結果、アーヴィングは支配種プラーガを自ら投与。
醜く変貌したその姿で二人に挑むが、力及ばず、あえなく最後を迎えることとなった。
No.07 ンディパヤ族
沼地に独自様式の木造建築を作り、そこに居住。
高度な建築技術は広く知られており、世界中の破壊された遺跡の復興で活躍している。
それが、世間でよく知られているンディパヤ族の姿である。

だが彼らには、部族の者以外には決して漏らさぬ秘密があった。
それが地下に広がる大遺跡群の存在である。

はるか昔、この近辺にはンディパヤ族が治める一大王政統治国家が存在した。
大遺跡群は、その当時の王都であったと伝えられている。

特筆すべきは、その統治者選出方法である。
この国家は王政でありながら世襲制ではなかった。
王になろうとする者は、生まれの確かさではなく、その能力と資質を万民に示すため、ある儀式に挑戦する必要があったというのだ。
儀式では、王都の深部にあるという「太陽の庭」でのみ生育するある植物を用いた。

その植物は、現地の言葉で「太陽の階段」と呼ばれていた。

太陽の階段は非常に毒性が高く、食する者のほとんどを死に至らしめた。
だが、稀にその毒に打ち勝つ猛者が現れた。
毒に打ち勝った者は、その対価として人を超えた能力と人々の賞賛、そして王の座を得ることができたという。

(この儀式については、現在でもンディパヤ族が年に1回行う祖先の霊を慰める祭りの中で、その名残を見ることができる)

ただし、その毒に対抗しきれる者は極めて稀で、そのような猛者が現れなかったため、一人の王が数百年王国を統治したという言い伝えも残されている。
この伝承が、新たな能力を得た王が数百年の時を生きたという証左なのか、不正確な口伝によって生み出されたただの伝説なのかは、現在では確かめるすべはない。

しかし、繁栄を極めたであろうこの王国も衰退し、滅亡したのは確かな事実である。

なぜンディパヤ族の人々が王都を捨て、沼地にその住居を移したのか。
その理由については、いくつかの不正確な伝承が残されているのみでよく分かってはいない。

だが、ンディパヤ族の人々は王都を離れた後もその地を神聖視し、その存在を部族外の者には明かすことはなかった。
さらには、ンディパヤ族の男は13歳から25歳の間に2年間、王都を警備する兵士として派遣されることをしきたりとしてこの地を守った。

公表されればアフリカだけではなく、世界の文明史さえも書き換える可能性があるこの巨大地下遺跡群は、このような彼らの努力で現代まで誰にも知られることなく存在し続けた。

だが、ある企業がこの遺跡の秘密をかぎつけた。1960年代のことである。
彼らは件の儀式で使われていた植物目当てに、武力をもってこの地へ進出してきたのだ。
当然、ンディパヤ族の人々は必死で抵抗した。
平時は優秀な技術者だが、戦時には、勇猛な戦士へと変貌する。
それが、彼らンディパヤ族である。

独自の兵器と優れた身体能力を武器に、彼らは勇敢に戦った。
だが、数の面で圧倒的に不利だった。
(人を超えた能力を得るため太陽の階段を口にした若者が多くいたためとも言われている)

その結果、彼らは太陽の庭より奥の地区を、その企業に割譲せざるを得なかったのである。

だが、彼らはまだあきらめてはいない。
いずれの日か新たな王が現れ、王都全域を取り戻す日を待ち望んでいるのである。
No.08 U-8
「U-8」は、寄生生命体「プラーガ」を利用した兵器開発プロジェクトで生み出された有機生命体兵器(B.O.W.)の一種である。

様々な種類の生物の遺伝子が配合、改良されて組み込まれているが、特に甲殻類の遺伝子が色濃くその外見に反映されており、その結果、強固な甲殻装甲を手に入れることに成功している。
その甲殻装甲は無類の防御力を有しており、性能評価試験報告によるとRPGの直撃にも耐えたとされる。

また、その巨体も特徴の一つとして上げられる。
全長数十メートルに及ぶ体躯は、それ自体が一つの武器と言え、特に3メートルを越える巨大鋏脚は、白兵戦で絶大な効果を発揮する。
両方の鋏脚から繰り出される一撃はスピードこそそれほど速くはないが、その超重量級の一撃は威力十分で、戦車程度の装甲であれば簡単に貫いてしまう。

さらにU-8は、本来抱卵のために使用される腹部分に、飛行型B.O.W.を共生させている。
この飛行型B.O.W.は、その収納部分からU-8の幼生と勘違いされることがあるが、全く別種のB.O.W.である。
1対1の近接戦闘では無敵の強さを発揮するU-8だが、多数の敵を相手にした場合は、その巨体をもてあますこともある。
またその巨大さから、遠距離からの狙撃では格好の的となってしまう。
その弱点を補うための飛行型B.O.W.であり、それは空母と艦載戦闘機の関係に似ている。

このように兵器として完璧に思えるU-8であるが、欠点も存在する。
まず最大の兵器であるその巨体だが、それがあだとなり、行動には膨大なエネルギーを必要としてしまう。
そのため、U-8の連続活動時間は短く、長時間遂行される作戦には向かない。
トライセルの営業用資料にすると、拠点防衛、もしくは短時間で完遂つれる強襲作戦での運用が効果的とされている。
(ただし、強襲作戦の場合は作戦目的地までの輸送手段を確保する必要がある)

また、あまりに急激な巨大化を促したため、その防御の要である甲殻装甲が一部欠損している。
決して広い部位ではないが、この部分への攻撃はU-8にとっては致命的である。

しかし、いくつかの欠点は存在するものの、その汎用性と戦闘力の高さ、またコントロールのしやすさには定評があり、U-8は生物兵器市場で人気の高い商品である。
記録によると、初期生産型のU-8と改良型(甲殻装甲の多層化による防御力強化型。欠点であった露出していた部位にも甲殻が生成されている)の「U-8'」、あわせて十数体がリカルド・アーヴィングの手により売却されたとある。

ちなみに、防御力を犠牲にして軽量化し、活動時間の増大と高速化を見込んだ再改良型のU-8開発も立案されていたようだが、計画段階で開発中止になったようだ。
本作戦でクリス・レッドフィールドとシェバ・アローマが遭遇したのは、甲殻装甲の欠損が認められることから、初期生産型のU-8と推測される。

なおU-8の「U」は「ウロボロス(Uroboros)」の「U」ではなく、「アルティメイト(Ultimate)」の「U」とされている。
No.09 トライセル
トライセルとは、「海運」「資源開発」「製薬」の3部門を主軸とする複合企業体である。

トライセルの歴史は、大航海時代と呼ばれている時代までさかのぼる。
欧州の豪商であったトーマス・トラヴィス、彼が経営する「トラヴィス商会」がトライセルの前身である。
トラヴィス商会はアジア方面との貿易で莫大な利益を上げ、今日のトライセル海運部門の基礎を築いた。
トラヴィス商会は海運貿易会社として順調に発展し、19世紀を迎える。

19世紀、トラヴィス家の7人兄弟の末子であった「ヘンリー・トラヴィス」は、私財をなげうってアフリカ探検とへ出発した。
当時は、デヴィッド・リヴィングストン等のアフリカ探検に関する記事が新聞紙面を賑わしていた時代である。
それに触発された形のアフリカ探検であったが、それがその後のトラヴィス商会の運命を決めることになる。

ヘンリーのアフリカ探検は大陸全域を対象とし、五度にわたり実施された。
彼の探検はトラヴィス家の豊富な資金力に支えられていたため、幾度かの中断の際も本国に帰ることはなく、アフリカ沿岸の街に居を構えて次の探検の準備をするスタイルをとっていた。
そのため、彼が帰国したのは五度目の探検が終了した後、実に本国を出発してから34年もの歳月が経過していたと言われている。

そして彼の探検の記録は「博物総覧」と言う全72巻に及ぶ大探検史として編纂されたのである。
この本は、アフリカの動物、植物、昆虫、鉱物、地質などの博物学的な内容だけではなく、アフリカに住む人々の生活、文化、習慣、歴史などにも言及した民俗学的な要素も併せ持っており、さながら当時のアフリカ百科事典とも言える内容であった。
だが、この博物総覧は全巻が出版されたものの、その緻密すぎる内容から世間からはヘンリーの創作として受け止められたため、
一部の好事家が愛読するだけの珍奇本の類として小部数が出版されるにとどまった。

この事態に絶望したヘンリーは、帰国後2年目の夏、失意の内に他界する。

現在では、これは当時のトラヴィス商会の当主(ヘンリーの長兄に当たる)が、末弟の本をフィクションだという噂を故意に流したためと言われている。
なぜそのようなことをしたのか?
それは、トラヴィス商会が、この情報を他者に利用されることを恐れたためである。

彼らが特に重要視したのは、地質学的な要素をまとめた第17巻から第24巻の8冊である。
この情報を基に、トラヴィス商会は19世紀末、アフリカの鉱物資源開発に乗り出す。
これによりトラヴィス商会は、アフリカ各地にいくつものレアメタル採掘鉱山、油田、天然ガス田等を発見、開発し、莫大な利益を上げていった。
これがトライセルの資源開発部門の起源である。

また、アフリカに確固たる足場を築いたトラヴィス商会は、20世紀中ごろより動植物、昆虫などを積極的に採取し始める。
この採取の際も、博物総覧が積極的に活用されたことは言うまでもない。
採取された素材を基に薬品開発を行い、それを事業化。今日の製薬部門の設立となった。

トラヴィス商会の基礎を築いた「海運部門」。

ヘンリーが記した博物総覧に基づき開発が進められた「資源開発部門」。

そして、アフリカの動植物から採取された素材を基に独自の開発を行う「製薬部門」。

主要3部門が揃った1960年代、トラヴィス商会は企業名を3部門の複合企業体であることを示す「トライセル」に改称し、今日のトライセルが誕生した。

なお、ヘンリーが記した博物総覧に目をつけたのは、トラヴィス家だけではなかった。
アンブレラの創始者であるオズウェル・E・スペンサーもまた、この本の民俗学的側面に着目。
ンディパヤ族の儀式に関する記述から、始祖花の存在を予測し、それが始祖ウィルスの発見に繋がったとされている。
No.10 ジル・バレンタイン
華奢な体つきに端正な顔立ち。
街を私服で歩いていれば、彼女が精鋭S.T.A.R.S.の元隊員であるとは誰も思わないだろう。
だが、一旦有事となれば彼女は誰よりも優秀な兵士となる。
銃器の扱いはもちろんのこと、キーピックにより簡単な鍵であれば開錠してしまう器用さ、さらには爆発物処理のスキルと多彩な才能を備えている。

それがジル・バレンタインである。

ジルはクリスと共にS.T.A.R.S.アルファチームに所属。
一緒に忌まわしいアークレイ研究所での惨事、通称「洋館事件」に巻き込まれる。
洋館内ではクリスと別行動を取ったジルだったが、最後にはクリスと共に事件の真相へたどり着くこととなった。
仲間であったバリー・バートンの裏切り、そしてそれを裏で糸を引いていたS.T.A.R.S.の隊長アルバート・ウェスカー。
人間をゾンビのようにしてしまうt-ウィルスの存在、そして巨大製薬企業アンブレラの陰謀。

それらの真実が、その後のジルの命運を決定した。
洋館からの生還後、彼女はクリスと共にアンブレラの危険性を訴えるが、一向に調査は進まなかった。
それに業を煮やした二人は、独自の調査をすることにした。
調査対象は欧州にあるアンブレラの本拠地。
だが、彼女がS.T.A.R.S.の隊員として守るべきラクーンシティにもアンブレラの重要研究施設が残っていた。
それを調査するため、彼女はクリスに遅れて欧州へ向かうことにしたのだった。

そして、それがジルをもう一つの事件へと誘う。
調査の最中、アークレイ研究所からt-ウィルスが漏れ出し、それがネズミを媒介にして市全域に蔓延してしまったのだ。
t-ウィルスに汚染されたラクーンシティは、ゾンビが徘徊する文字通りの死の街となった。
そして、この事態にいち早く反応したのは、事件の元凶であるアンブレラであった。

バイオハザード対策部隊「U.B.C.S.」を現場に送り込み、さらには生き残ったS.T.A.R.S.隊員の口をふさぐためネメシス-T型と呼ばれる生物兵器を投入してきたのだ。
ネメシス-T型に追われながらも街からの脱出を図るジルは、そこで一人の男と出会う。
U.B.C.S.の生き残り、カルロス・オリヴェイラである。

自分たちの部隊が市民の救出を目的としていると信じて疑わないカルロスは、協力して街から脱出することを提案してくるが、ジルはその言葉を素直に受け止められずにいた。
だが、事態は切迫していた。
米政府はラクーンシティのウィルス汚染を問題視、「滅菌作戦」と称される特殊爆弾攻撃を決行しようとしていた。
さらにはジルがt-ウィルスに感染してしまい、脱出は絶望的かと思われた。
だが、その窮地を救ってくれたのがカルロスだった。

ワクチンを入手したカルロスは、t-ウィルスに感染したジルにそれを投与。
無事に回復したジルはカルロスと協力し、ラクーンシティ脱出に成功するのだった。

そして、2003年。
ロシアで行われた「T-A.L.O.S.阻止作戦」を経て、ジルはクリスと共にBSAAの初期メンバー(オリジナル・イレブン)として世界中の生物兵器犯罪に挑むこととなった。

アジアでの生物兵器テロ阻止、南米の生物兵器研究所の壊滅作戦、欧州での密売人の逮捕作戦、様々な作戦に従事した二人であったが、再びその前にアンブレラの影が横たわることになるとは思ってもみなかっただろう。
その影は、深く濃い黒だった。
アンブレラの創始者オズウェル・E・スペンサーの存在である。

スペンサーの居場所を突き止めた二人は逮捕に急行、スペンサーの部屋に踏み込むが、そこにいたのはかつての上司、そして仇敵であるアルバート・ウェスカーであった。
ウェスカーの足元に転がるスペンサーの骸を確認した二人は、急遽ウェスカー逮捕に作戦を変更した。
2対1、絶対的に有利な状況である。
だが、ウェスカーはすでに人間を超えた存在になっていた。
二人は、全くウェスカーに歯が立たなかった。

そして、ウェスカーの拳がクリスの胴体を貫こうとした瞬間、ジルは反射的に走った。
勢いのままウェスカーに組み付いたジルは窓を突き破り、そのままウェスカーを道連れに奈落の底へと消えていった。
その場に残ったのは、クリスと、彼の叫び声だけであった。

その後、BSAAの手による大規模な捜索が行われたが、死体どころか遺留品ひとつも発見されなかった。

そして2006年11月23日、ジル・バレンタインは公式に死亡と認定され、BSAAの殉職者リストに名を連ねることとなった。

だが、彼女のストーリーはまだ終わっていなかった。
崖下に消えた彼女は、あろうことかウェスカーに救出されていたのだった。
ジルを救出したウェスカーは、そのまま彼女を冷凍睡眠状態で生かし続けた。
「ウロボロス計画」が完成した際には、被験体第一号として彼女を利用しようとしていたのである。
これは、ウェスカーのささやかな復讐であった。

しかし、事態はジルに味方をした。
ジルの生命反応を監視していたセンサーが、異常な数値を検知したのだ。
彼女の体内で何かが起ころうとしており、それが再びウェスカーの興味を引くこととなった。
検査の結果、彼女の体内に変異したt-ウィルスが存在することが確認された。
それは、かつてラクーンシティで感染したt-ウィルスの残滓であった。

t-ウィルスはワクチンで完全に駆逐されたわけではなく、彼女の奥深くに潜み生き続けていたのだ。
それが長時間の冷凍睡眠状態で活性化、表に顔を出してきたのである。
そのt-ウィルスは、程なくして消滅してしまった。
だが、残った物もあった。
体内から、強力なウィルス抗体が発見されたのだ。
長年体内にt-ウィルスを潜伏させ続けた末に、彼女の自己防衛能力が生み出した一つの奇跡といえるだろう。

そして、この事実はウェスカーを歓喜させた。

ウロボロス計画の中心であるウロボロス・ウィルスであるが、開発は予想以上に難航していた。
始祖花から生成された初期のウロボロス・ウィルスは、毒性が強すぎて、そのままでは使用できなかった。
人類の進化を促すどころか、死へと誘ってしまうのだ。
ウェスカーはその毒性を弱めるため、ジルが持つ抗体の利用を思いついたのである。
ジルは抗体の生体工場として生かし続けられた。
生物兵器テロを人一倍憎み、数々の陰謀を阻止してきた彼女が、最悪の陰謀のために利用されようとしている。
これほどの皮肉はないだろう。

そして、ウロボロス・ウィルスが完成した。
用済みになったジルであったが、ウロボロス・ウィルスの被験体にはふさわしくない。
彼女の体内には、純度の高いウィルス抗体が充満しているのだ。
そこでウェスカーは、違うやり方で彼女を利用することにした。

始祖ウィルス研究の副産物として生み出された薬品があった。
その薬品に正式な名前はなく、研究員の間ではただ単に「P30」と呼ばれていた。
これを投与されると、被験体は精神を支配されるのと同時に、超人的なパワーを身に付けることができる。
つまりは一種のドーピングである。
ウロボロス計画の目的は、新たな人類への進化である。
その意味では、この薬品の存在価値は低い。
だが、商品としては使えるかもしれない。

こうして、同じく決して反抗することのない最強の兵士を生み出すための「プラーガ計画」と平行して研究が続けられた「P30」であったが、大きな欠点があった。
効果時間が極端に短いのである。
代謝されて対外に排出されればほとんど後遺症が残らないのは長所だが、効果時間が短すぎるのでは商品として売り物にならない。
そこで考案されたのが、体外装置による薬剤の継続投与であった。

だが、効果時間が短いとは言え強力な薬品に違いはない。
継続投与は、どれほど体にダメージを与えるか分からない。
それを知るため、ジルを被験体とすることにしたのだ。

胸に付けられた体外装置は、継続的にジルに薬剤を投与し続けた。
そして、その精神を蝕み続け、かつてのパートナー、クリスがその呪縛を解き放つ時まで、ウェスカーとエクセラの”玩具”として彼女を生かし続けたのである。
No.11 エクセラ・ギオネ
エクセラが育ったギオネ家は、ヨーロッパでも名の通った貿易商の一家である。
また、祖母はトライセルの創業者一族であるトラヴィス家の出身であるため、由緒ある血筋の一族の出身と言える。
名家で生まれ育ったその出自ゆえにプライドが高く、さらにはその美貌から周りの人間(特に男性)を見下す傾向が強い。

だが、ただ見た目が良いだけの富豪令嬢であれば、彼女が今の地位につくことはなかっただろう。
エクセラの本質は、その明晰な頭脳にある。

父親譲りの経営の才能を加え、飛び級で入学した大学では遺伝子工学を専攻、その才能は祖母の実家が経営するトライセルからも高く評価され、わずか18歳の時にトライセル製薬部門の一員となることとなった。

だが、いくら創業者一族出身で才能豊かとは言え、彼女自身は傍流のギオネ家の出身である。
社内で何十もある研究チームの1つを与えられたにすぎなかった。
人の風下に立つことを良しとしない彼女の性格を考えると、これは相当な屈辱だったに違いない。

そのような時に彼女に接近してきたのがアルバート・ウェスカーである。
ウェスカーは、彼女の才能とその気性に目を付け、自らず持つt-ウィルスなどの情報をエクセラに提供した。

これらは、エクセラの確かな武器となった。
彼女がもたらした情報と技術により、トライセルの生物兵器開発は飛躍的な発展を遂げた。

さらに、生物兵器市場でのトップシェアを誇っていたアンブレラの崩壊という幸運も重なり、トライセルは順調にシェアを拡大していったのである。
そして、それは開発における最大の功労者であるエクセラの発言力も同時に高めていき、いつしか、彼女の言動は製薬部品全体の方針さえも左右するようになっていた。
これは、ウェスカーの狙い通りの結果でもあった。

次にエクセラは、トライセル・アフリカ支社の支社長のポストを要求。
生物兵器事業を材料に甘言、恫喝を巧みに使い分け、まんまとこのポストを手中にするのであった。

このアフリカ支社長への就任劇がウェスカーの差し金であったことは、想像に難くない。
ウェスカーは、エクセラが持つ自身への恋愛感情を利用し、「ウロボロス計画」にエクセラとトライセル・アフリカ支社を利用しようとしていたのだ。

彼女がアフリカ支社長に就任してまず行ったのは、すでに遺棄されていた「アンブレラ・アフリカ研究所」を復活させることであった。
この研究所は、アンブレラにより始祖ウィルス研究のために建設されたもので、ウロボロス計画完遂のためには絶対に必要な施設である。
研究所復活後は、手駒の一つであるアーヴィングを用いて生物兵器の売買を行い、研究資金の確保をしつつウロボロス・ウィルスの研究を行っていった。

そして、ウロボロス計画は最終段階を迎える。

彼女自身は計画終了後に訪れる新世界での女王の地位を夢見ていたが、王となる男、ウェスカーの手によりウロボロス・ウィルスを投与されてしまう。
ウロボロス・ウィルスはエクセラの遺伝子を拒絶すると暴走を開始。
体を突き破ったウィルスにより巨大なウロボロスに変貌した彼女は、その生涯を終えた。
No.12 アルバート・ウェスカー
洋館事件、ラクーンシティでの惨事、ロックフォート島に端を発するアンブレラ南極研究所での事件、ロシアのコーカサス研究所における事件、そしてアメリカ大統領子女誘拐事件。

全ての事件において、表舞台、裏舞台関わらずその存在が確認される男。
それがアルバート・ウェスカーである。
今回の事件は、その彼の行動が発端となったと言っても過言ではない。

ウェスカーは、これまでt-ウィルス、G-ウィルス、t-Vronica、プラーガと数々のウィルス、生物を手中にしてきた。
それらを武器にアンブレラのライバル企業でのし上がり、地位も富も名誉も手に入れた。
物質的には満たされた。

だが、彼の中には常にある違和感が存在し続けた。
それが、アンブレラの創始者オズウェル・E・スペンサーの存在である。

ウェスカーは、昔からスペンサーの真意を測りかねていた。
彼の過剰なまでの有機生命体兵器(B.O.W.)開発に対する投資は異常とも言えた。
本来、生物兵器のメリットは安価に開発できる点にある。
通常の兵器システムとの併用を考えれば、ここまで極端なB.O.W.開発は必要ない。
どうしてそこまでB.O.W.に固執するのか。
かつてウェスカーは、その答えを探るため、アンブレラの情報部へと身を置いたこともあった。

その疑問が、再び頭をもたげるようになったのだ。
ウェスカーは、その疑問の答えを求めてスペンサーの行方を捜した。
しかし、アンブレラ崩壊後、いやそのもっと以前からスペンサーは表舞台から姿を消し、行方知れずとなっていたのだ。
持てる物は全て使った。
金も時間も、組織の力も全て使い、ついにウェスカーはスペンサーの行方を捜し出したのだった。

欧州の古城、雷が鳴り止まぬ初秋の夜、ウェスカーはスペンサーのもとを訪れた。
驚くかと思われたスペンサーは、ウェスカーの姿を見ると、その干からび落ち込んだ眼窩の底で暗い歓喜を光らせた。

「戻ったか……」

スペンサーは、そう呟くと乾いた咳混じりに笑った。

ウェスカーは、またもこの老人の真意を測りかねていた。
アンブレラにいた当時、何度も味わったこの感覚。
この枯れ枝のように弱々しい体を持つ老人から発せられる重く、粘つくような存在感。
全てを飲み込み、この自分さえも掌で踊らせてしまうような絶対的な意思の力。
これが自分をイラつかせる元凶であり、内に潜む最大の違和感の正体だった。
その内面を見透かしたかのように、スペンサーは語り始めた。

彼にとって有機生命体兵器開発は、真の目的を達成させるための手段でしかなかった。
彼の真の目的は、ウィルスによる人類の強制進化。
20万年続いた現生人類の終焉と、新生人類の誕生。
新たな人類により理想郷を創造し、そこで神となるのが彼の真の目的だったのだ。

そして、その歪んだ理想を実現させるために彼が必要としたものが3つあった。

一つは「始祖ウィルス」。
始祖ウィルスがなければ、彼の理想郷創造など彼自身の無想にしかすぎない。
その夢を現実世界へと引きずり出したのが、始祖ウィルスの存在だった。

二つ目は「アンブレラ」。
彼の真意を誰にも悟られることなく始祖ウィルスの研究を進めるのに、兵器利用目的の開発というのはうってつけだった。
そのためのアンブレラであり、彼にとって、ここから得られる利益など副次的なものに過ぎなかった。

そして三つ目が「ウェスカー」である。
スペンサーが思い描く理想郷。
そこに住まう者たちも、理想郷な人類でなくてはならない。
では、理想郷な人類とは?

始祖ウィルスにより進化を促された新生人類。
もちろん、それは大前提である。
しかし、進化を促された者が自分の意に沿わないような人物であったらどうなる?

進化し、超人的な肉体と知性を手に入れたとしても、その者の知識、倫理観、常識は変わることはない。
怠惰で無能な者が新生人類として選ばれたとすればどうなるか。
それは彼の理想郷を汚す、決して落ちないシミとなってしまうだろう。
どうしても避けねばならない事態である。
そのためスペンサーは、一つの計画を実行することにした。

この計画は、主任研究者の名前を取り「ウェスカー計画」と呼ばれることとなった。

計画に沿い、世界中のあらゆる人種から数百名の子供が集められた。
いずれも才能あふれる両親から生まれた子供たちである。
知識、倫理観、常識を変えることができないのであれば、最初からこちらが望むものを与えてしまえばいい、彼はそう考えたのだ。

こうして集められた子供たちは、それぞれに「ウェスカー」の名前が与えられ、世界中へ解き放たれた。
当然、本人に気付かれることなく厳重な監視が付けられた上でである。
彼らは分野こそ違うが、それぞれが最高の教育を受けられる環境で成長することになるのだった。

そして数年後、特に優秀と認められた一人の青年がラクーンシティにある「アンブレラ幹部養成所」へと送られた。
それが「アルバート」の名前を与えられたウェスカーである。

その後のアルバート・ウェスカーの行動は、スペンサーを喜ばせるものであった。
彼の基準に沿えば、このウェスカーには十分に新生人類の資質ありと言えた。
またそれは、その他のウェスカーたちも同様であった。

そこでスペンサーは、計画を次の段階へと進めることにした。
全てのウェスカーに、試作段階のウィルスを投与することにしたのだ。

言わばこれは、真に優秀なウェスカーを見極めるための”ふるい”である。
ある者は親友から勧められ、ある者は治療の一環として、ある者は強制的に試作段階のウィルスを投与されることとなった。

当然、アルバート・ウェスカーも例外ではない。
彼はライバルであるウィリアム・バーキンから試作段階のウィルスを受け取り、策謀のために自らの手で投与したのである。

結果、この”ふるい”は厳しすぎたと言えるかもしれない。
ほとんどのウェスカーは死に、生き残ったのはわずかであった。
そして生き残りの一人アルバート・ウェスカーは、いずこかへ消え去ったのである。

だが、スペンサーはあわてなかった。
全てのウェスカーには、安全装置が取り付けられていたのだ。

それが「スペンサーの存在感」である。

それが、ウェスカーが感じ続けた違和感の真の姿だった。
ウェスカーはスペンサーのことが気になっていたのではなく、気になるように仕向けられていたのだ。
そして、スペンサーの思惑通り、ウェスカーは戻ってきたのだった。

だが、スペンサーは一つだけ計算違いをした。
ウェスカーの深層心理に刻み込まれた安全装置は、謎だったからこそ有効だったのだ。
正体さえ分かれば、ウェスカーがそれにおとなしく縛られている理由はない。
ましてや、それが老いさらばえ、死期の間近な老人であればなおさらである。

「神か……なるほど。俺が引き継ごう」

その言葉と共に、ウェスカーは自ら鎖を断ち切った。

そこにかつての部下であるクリス・レッドフィールドとジル・バレンタインが踏み込んできたのは、ただの偶然だったのだろうか。
ウェスカーには、それが啓示に思えた。
幾度も自分の計画を邪魔してくれた現生人類。

確かに、まだ進化の余地はありそうだ。

ウェスカーは内心呟いた。

そして、その場を切り抜けたウェスカーは、とある製薬企業で手にしていた地位を利用して研究成果とウィルス、そして資金を持ち出し、再び地下へと潜った。
真の「ウロボロス計画」を決行するため、次世代の神となるための階段を上り始めたのである。




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